浮気の定理
いつの間にか目の前には山本が座っていて、私に目線を合わせてくる。



それでも私は動けなかった。



ただ呆然と彼を見つめるだけ。



「心配したんだよ?なんで、連絡くれなかったの?」



息を整えながら、それでも優しく彼は私に問う。



北川とのこと、父と母の真実、それに山本のことが加わって、頭はパニックだった。



それでも何か言わなきゃと、必死に言葉を探して口に出す。



「北川さ……の、奥さんが来たみたいで……お父さんに……殴られて……それで……」



途切れ途切れになりながら、さっきまで父と何があったのかを説明する。
< 593 / 730 >

この作品をシェア

pagetop