浮気の定理
「……真由ちゃん!」
息を切らして駆けつけてくれたんだろう彼は、部屋に入るなりそう私の名前を呼んだ。
なんの準備も出来ないまま、私はただ、山本の顔を見つめることしか出来ないでいる。
「私、ちょっとコンビニ行ってくるから。山本、あとよろしくね?」
なんて、桃子がスローモーションみたいに部屋を出ていくのを、ただ眺めていた。
残された桃子の部屋には私と山本の二人きり。
今まで感じたことのないような焦りと不安が私を襲う。
――なんでこんなことになってるの?
山本は桃子と付き合うはずだったのに……