浮気の定理
桃子の言葉に思わずほだされそうになりながら、私はグッとそれを堪えた。



「ありがとう……そうだね?もしもの時は、相談するから」



真由の手が私の腕からそっと離れてく。



それから窓の外に目をやりながら、絶対だからね?と呟いた。



ふと見ると、バックミラー越しに山本くんの優しい目がこちらを窺っているのがわかる。



私は何も言わずに目線を合わせると、目だけでにっこりと合図した。



彼もまたそれを目だけで受け止めると、そのまま私から視線を外す。



それから今までの会話なんか、なかったかのように、普通に話しかけてきてくれた。
< 623 / 730 >

この作品をシェア

pagetop