浮気の定理
「そろそろ着きますけど、こっからどう行けばいいですかね?」



柔らかい口調で優しく話す山本くんは、真由とは正反対だと思う。



でもだからこそお似合いなのかもしれないなと自然と目尻が下がる。



この人なら真由を丸ごと包んでくれそうで安心できる。



それが嬉しくもあり羨ましくもあった。



「涼子さん?」



もう一度そう山本くんに声をかけられてハッとする。



慌てて辺りを見回すと、もう実家の側まで来ていた。



「あ、そこの信号を右でお願いします」



「了解」



山本くんはそう言って、ハンドルを右に切る。
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