浮気の定理
「大丈夫よ?ママがパパにお話してくれるって」



「ほんとぉ?」



母と私の顔を見比べながら、花が期待に満ちた顔で聞いてくる。



「うん、ほんとだよ?」



だからつい、そう返事をしてしまった。



勇を怒らせることはわかっていたのに、花をガッカリさせたくなかったから……



「涼子、大丈夫?顔色悪いけど……」



「うん……平気」



「もし言いづらいなら、お母さんから言ってあげようか?」



「いい!大丈夫だから」



そんなことをしたら火に油を注ぐようなものだ。



私の勢いに驚いたような顔をしたけれど、母はそれ以上何も言わなかった。
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