浮気の定理
私は一人じゃないんだ……そう強く思えたから……



「ごめん……みんなに迷惑かけるって……思ったから……」



さっきまで気が張っていたせいか、2人の優しさに触れて私の目にも涙があふれる。



ずっと誰にも言えず過ごした日々を、誰かにわかってもらえることで、こんなに心が軽くなるなんて思ってもみなかった。



3人で肩を寄せあい、しばらくそのまま泣き続けながら、こんなときにすぐかけつけてくれる友達がいる有り難さを噛み締める。



ひとしきり泣いたあと、涙でぐちゃぐちゃな私たちは顔を見合わせて小さく頷いた。



なにも言わなくてもわかる。考えてる事は一つだ。



「涼子!逃げるよ?」



すぐに立ち上がり私の手を取り、玄関から出ていこうとする真由を桃子が呆れたように制した。
< 675 / 730 >

この作品をシェア

pagetop