浮気の定理
それから実家に到着したのは、3時を少し回ったところだった。



「涼子!」



事前に桃子が連絡してくれていたおかげで、実家に足を踏み入れた途端、母はそう叫んで迎え入れてくれる。



桃子や真由がそうだったように、泣きながら抱き締められた。



労るように優しく、それでもしっかりと……



まだ母には知らせてないと弁護士に話したのはついさっきのことだ。



――お子さんがいるならなおさら、ご実家に味方になってもらいましょう。



有無を言わさぬ強い口調でそう言われて、私は仕方なく頷いた。



私から言いづらいならと、母に伝える役を引き受けてくれたのが桃子だった。
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