浮気の定理
「いいですよ?」



「え?」



「飲みに行くくらいなら……」



「ほんとに!?やった!」



ガッツポーズをしながら喜ぶ彼は、本当に嬉しそうで……



少しだけ信じてしまいそうになる。



「あ、名前、まだ言ってなかったよね?

俺、一ノ瀬翔太、29歳、独身

他に聞きたいことあれば、なんでもどうぞ?」



律儀に自己紹介し始めるところは、仕事中の彼と通ずるものがある。



やっぱり悪い人じゃないのかもしれない。



「じゃあ、彼女は?」



独身を強調していたけれど、奥さんがいないだけで、彼女はいるかもしれない。



だってこんなにかっこよくて、バーテンダーなんて職業なんだから、モテないはずがない。
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