悪魔の運動会


「森本瞳や、斉木真一はどうなる?」


「それは__」


今度は相原が言葉に詰まった。


撃たれた森本瞳に、感電した和田翔平。斉木は目の前で泡を吹いた。蜂に刺された山寺正人も、瀕死だったに違いない。


再び、教室内に重い空気が立ち込める。


せっかく相原が気を遣ってくれたのに、台無しにしてしまったと悔やんだ。


「もしかしたら、フェイクとか?」


旬が明るい声を出して続ける。


「そうだ、フェイクだ。みんな森本の脈を測ったか?和田は?斉木だって、もしかしたら仮死状態だったのかも。俺たちを真剣にさせるための、向こうの手段」


「そうよ。私たち誰も、ちゃんと確認してない。すぐに着ぐるみが運んでいくだけで、どこかで治療されてるかもしれない」


相原が賛同し、他のやつらも顔を上げ始める。


「じゃ、健も大丈夫なの?」


久米茜が、今しがた連れていかれた健の安否を尋ね、茜を挟み込むようにして付き添う野球部の2人がしっかりと頷いた。


「そうだ、きっと大丈夫だ‼︎」


それは俺の本心だった。


無くしていた自信を、相原と旬が取り戻させてくれた。


諦めるのはまだ早い。


まだ早すぎる‼︎


それなら腹ごしらえに弁当を食べよう‼︎と提案しようとした時、耳馴染みの音楽が聞こえてきた。






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