神様お願い 僕を殺してください
実体化された彼は女性の目にとまる。
彼は女性と目を合わせてしまったのだ。その瞳の奥底から溢れる悲しみを見てしまったのだ。

そうなるともう、彼は壊れてしまった。
身も心疲れ果てた、廃人のように、砂のようにさらさらと。
何も見ずに何も見えずにそのまま部屋から抜け出した。
もう、その場所にいることは出来なかったのだ。苦しくて苦しすぎて、身体の内側から爆発しそうだったのだ。
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