3年後、あの約束の続き
その日の夜は、章の歓迎会を行った。
うちの部、章を入れて6人で。

いつも行く、オフィスに程近い個室の居酒屋。
みんなお気に入りの場所だ。

「へぇー中学からノルウェーの学校に行っていたんですねー!」
田野畑さんが猫なで声で、章と話している。

「そう、中高はノルウェー。大学はアメリカ」
結局、日本の大学には行かなかったのか。

「中学の途中までは北関東で過ごしたよ。父親がそこの大学で教えてたから。アメリカ行ったのも、アメリカで父親が教えることになったからなんだ」
・・・随分出世してるんだな、おじさん。
私は黙々と、だし巻き玉子をつまんでいる。

「渡辺さんは、出身どこ?」

不意に私に振られる。

「・・・埼玉の入間の方に実家が」

「そうそう!俺も埼玉だけどコイツ帰国してからずっと東京の学校通ってたってズルいよなぁ!」
同期の橋本が乱入する。
橋本 雅文(はしもと まさふみ)
留学していた関係で、1歳年上の男。

まさに渡りに船。
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