3年後、あの約束の続き
「お母さん?何?」

ふぁーと欠伸をしながら聞く。


お母さんは「ごめんねー寝起きだったねー」とマイペースだ。

「章くんも近くに居る?」

言ってる側から章がリビングにやってきて、テレビを付けた。
「居るよ。スピーカーにするから章にも聞こえるようにする」

私は章の隣に座って、スピーカーをオンにした。



「あのね、弁護士の先生に連絡を取ってみたの。するとやっぱり大旦那様は覚えていたらしいのよ」

「大旦那さまって?」
ちょうど章が聞いた瞬間‐大旦那様がテレビに映ったので指差す。

「あっ・・・」驚く章は心当たりがあるらしい。


「で、一応は保留ってことにはなってね・・・大旦那様、今大変でしょう・・・だから・・・えっとね・・・」

お母さんは言葉を濁すけれど、まあ言いたいことはわかる。

今目の前で流れているニュースは『野党の幹事長が賄賂?秘書官が辞任か?!』というスキャンダルな内容だ。


「わかったお母さん、一応周りにも警戒しとくから、ありがとう」

お母さんの声は少し不安そうだったけれど
「うん、何かあったら言ってね。大丈夫だからね」

それだけ言って、電話を切った。
< 173 / 289 >

この作品をシェア

pagetop