3年後、あの約束の続き
‐エリック、今日はタイムアップだ。そろそろ大阪に発つんじゃないか?
それに章、冷静になれ。マナミ、返事は今月中でいいから。

ガブリエウが立ちあがり、エリックに帰る準備をするように促す。
仕方なしにエリックは荷物を持って、帰る準備を始めた。


‐しかし良かったよ。2人は恋人になれたんだね

ガブリエウはポルトガル語で私に呟くように言った。

‐アキラには内緒だ、は嘘だったのね?

‐ノーノー、僕はただ『あの子に見えるか?』と聞かれたから『恐らく』と答えただけさ。
それと女の子の取り扱い方もね!


やっぱりくせ者。

‐でも僕は、マナミにポルトガルを好きになって欲しい。アキラにも。
だから一緒に働きたいと思っているよ。


ふふっとキザな笑みを浮かべるガブリエウ。
ムカつくはずではあるが、不思議と嫌な気持ちにはならない。

‐じゃ、マナミ。また帰国する前に会いに行くよ

エリックは私に手を振って、会議室を出ていった。


ガブリエフも立ち去ろうとしたが、振り返って私の右頬に自分の頬を当てる。

‐挨拶だよ、覚えてね


そして左頬にも同じようにして、チュッと音を立てる。エアキス。


‐じゃ、2人ともまたね


そしてガブリエウも会議室を出ていった。
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