3年後、あの約束の続き
頭の中をぐるぐるしながら、廊下を歩いていく。


『君をノルウェーに連れていく』

章と一緒にノルウェーに行く?


それだと‐私はどうなる?


仕事は辞めることになるだろう。
ビジネスで流暢に使える程、英語は話せないし。


‐一緒にポルトガルに行かないか?

エリックの言葉がかすめる。

確かにポルトガルには興味があった。
大学で(スペイン出身の先生から)聞いたポルトガルの話。
リスボンの旧市街の素晴らしい街並みや、世界遺産にもなっているジェロニモス修道院、ベレンの塔などの素晴らしい建造物。
1度は見てみたいと思いながら、行くことはないだろうな、と。


暮らすとなれば、違うのはわかる。


でもエリックと仕事ができる。


本社でもトップクラスの実力のあるエリックと仕事ができる。
しかも新規の事業。
願ってもみない話だろう。日本の話だったら即答で首を縦に降る。


でも‐どうしても、引っ掛かってしまう。
< 232 / 289 >

この作品をシェア

pagetop