3年後、あの約束の続き
「俺はずっとこの町が窮屈で、息苦しくて・・・いつか絶対に君を連れて出ていこうって、そう思っていた。
だから、えっと・・・・・・」

そして言葉が詰まり、項垂れるようにしゃがみこんだ。


「考え直す気は、ないんだね?」


章には何も話していない。

でも、行く決意が固いことに気付いている。


「志木さんからも、お母さんからもさ、しばらく海外で気分転換することを勧められた。
それにさ、私はこの会社で何か残したい。
ひとつでいい。何かをやり遂げることがしたいの」


新規事業に携われるなら、願ってもみないこと。
エリックの元に行ってみたい。
ひとつでいい、トップレベルの人と仕事をして、何かを残してみたい。


私の晴れ晴れとした表情を見ると、章は更に項垂れるように、はぁとため息をついた。


「俺はまた、この言葉を言わなきゃいけないのか・・・」


私は章を見つめながら「一応だけど、別れるという選択肢はないんだね?」と聞いた。
章は顔を上げて「当たり前だ」と呟く。
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