3年後、あの約束の続き
章は・・・芸能人に例えるなら妻夫木聡だろうか。
妻夫木聡に比べると少し儚げな空気はあるが、くっきりとした顔立ちと爽やかな空気をまとっている。


思えば最初に章に目を付けたのは、お母さんだったな。
「章くん!将来はこの子と結婚してばあば様も早苗ちゃんもみんな一緒に暮らしましょう!」
小さい頃から私達にそう言って、ある意味洗脳されてきたのは否定できない・・・とは思う。

‐そんなことを抜きにしても、私は彼が大好きだった筈だが


そんなことを思い出しているうちに電車がホームに滑り込む。

夜9時の山手線は座れはしないが、立っている人もさほど居ない。

「さっきの人たち、俺のこと『彼氏』だってさ」
そう言って私に微笑む。

「そう見えるんでしょうね。並んで歩いていると」
私は淡々と答える。

「じゃ、ちょうどいいから付き合って。10分ぐらいでいいから」
ちょうどって何?
言いかけたところで電車が渋谷駅に到着する。

章は降りる人に紛れて私の手を引いて歩き出す。
そのままホームを抜けて、山手線の改札口を出ていった。
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