散る桜
16


その言葉は、心の内側に甘く染みた。


「消えてしまえたら、いいのに」

大人の前では決して言うことのできない本音がこぼれた。


「では、あと七日だ」

彼は楽しそうに言って、立ち上がった。


「七日の間、ここに通え。そうしたら、俺がお前を、迎えに行ってやる」

彼はそう言って、忌地の中から手を伸ばした。


出られない、と行った彼の言葉を思い出し、わたしは忌地へ近付いて、恐る恐るその手に触れた。


瞬間。指先にチクッと鋭い痛みが走った。

彼はわたしの手を取って、指先から溢れた血を舐めた。


「忘れるな。七日の間、必ずだ」
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