散る桜
17


***

「しずか、逢いたかった」

忌地の中から、彼は何度もわたしを抱きしめた。彼に囁かれる度に、わたしの首元には赤い痣が増えていった。

俺のシルシだと、赤い痣を指先で確かめながら、満足げに笑う。


帰り際、彼は必ずわたしの指先から血を舐めた。

傷が早く治るおまじないだと言って、傷ついた指先に、草を巻いた。


「帰りたくない」とわたしが言うと、「俺だって、しずかを帰したくない」と彼は答える。
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