散る桜
19


「一人でいても、ヒトは俺を忘れない」

お前とは逆だな、と彼はわたしの頭をなでた。


「忘れて欲しく、ないの?」

「どうだろう」


「わたしは早く、忘れて欲しいわ。誰の記憶からも。消えて、なくなってしまいたい」


「お前のことをヒトが忘れたとして、お前の抱えている記憶は、どこへ流れていくのだろうな」

懐かしい彼女の面影が、胸を過ぎった。
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