あなたを好きにならないための三箇条
ぐっと怒りに耐えるように拳を握る
俺が怒りに身を任せたところでどうしようもない。
敵意を向けられる理由は“男”だから。
紗奈という少女の放つ言葉でそう確信を得た俺は言葉を紡いだ
「…俺は、必ずしも彼女を傷つけないとは言えない。」
男であっても俺は敵ではないと信用を得なければならない
信用を得る対価は “内側の想い” である事を俺は知っている。
俺はいままでその逆を選んで言葉を紡いできたのだから。
とにかく
内側を紗奈に見せることが必須なのだ
「…だから男は…!」
顔を真っ赤にした紗奈を見下ろしながら
俺は微笑んだ
「…まだ俺は君よりも如月瑠衣と一緒にいた時間は短いのかもしれない。
信用に値しない人物であることは理解してるよ
確かに彼女は弱いね。彼女はあまりにも弱い1人の女の子だ。
君が心配するのも守りたいと思うのもわかる。」
これが紛れも無い真実
確かに俺の “内側”
俺の “想い” だ
「だけど…。俺だって彼女を守りたいと思ったんだよ」
あまりにも格好悪い。
俺は一度彼女を泣かせてしまっているくせに
自分の利益になるからと付き合う事を提案した。
彼女はなんて言ったと思う…?
『…守られているだけの私は嫌だ。
男に迫られて泣くような私は嫌だ。
…あなたと付き合えば、強くなれるの?』
だって。
思い出すだけで胸が苦しくなる
俺は他の女の子と違う理由をそこで理解したのだ
他の女の子は自分の弱さを利用して生きている。
「助けて」と泣けば助けてもらえるとわかっていて泣く
…けれど。
彼女はその “自分の弱さ” さえをも許さない。
俺は、そんな少女を守りたいと思ってしまった
見知らぬ少女の悲鳴を聞いて後先考えずとも必死に、助けに行こうとした彼女を守りたいと思ってしまった。
俺は正直者でもあったらしい
一度思えばもう止められない
「…俺は、君に消えろと言われようが彼女の側から離れるつもりはないよ。」
自分にこんな目ができた事を初めて知った
熱を帯びた強い目
いつも唇は簡単に緩むようにしているのに頬が硬直して無表情であるとわかる。
どうしてだろうか。
彼女は俺を変える