となりの芝田は、青い。
「うち、芝田好きだよ」
「あたしも」
音楽室につくと、周りの席の女子が口を揃えてそう言った。
「それはラブではないよね……?」
ラブなものか。
あってたまるか。
「うち的にはイケる」
は!?
「あたしも全然アリ」
芝田ダヨ!?
「だけど、向こうがバリア張ってるからね」
「うん。まあ付き合えないだろうね」
(……バリア?)
「そんなのある?」
「あるある。恋バナになるとするりとかわされる」
かわされるの……?
って、わたしは芝田に恋バナ振ろうとも思わないけどね!?
「わかるー」
「気づけば友達モードっていうか」
それって恋愛に疎いガキだからじゃないの?
「あれは本命いるよ絶対」
「だね」
(ホンメイ……って……)
「芝田ってライン教えてくれないよね」
「それな」
みんな芝田にID聞いてたの?
「ゲームするけどラインの使い方わかんないらしいよ」
ダサッ……!
「とか言って。彼女に束縛されてたりして」
「だとしたら彼女のために優しく断ってるってことになるよね」
おいおーい。みなさーん。
「いいなー。芝田に愛されてる子は」
「誰だろ。他校生?」
「案外身近にいたりしてー」