秘密の会議は土曜日に
ベッドの中で優しく抱き締められると、つい体が強ばって力が入ってしまう。


高柳さんはさっきまでと同じように優しいのに、どんなふうにしていいのかさっぱり分からなくなってしまった。こうなってるのはきっと変な妄想したからだ。自分で自分が恥ずかしい。


「理緒の気持ちの準備が出来るまでちゃんと待つから、心配しないでいいよ。

少しずつでいいから、俺に慣れて」


横を向くと宗一郎さんの長い睫毛までよく見える。シャープな顔立ちの中で、甘さを残した印象的な瞳。目が合うと苦しくなってぎゅっと目をつぶる。


「俺は毎日理緒と過ごせると思うと、それだけで夢のようなんだ。

今までは週末までもたなくて、だんだん気持ちが乾いて辛かった。」


そっと唇が触れて、優しく重ね合わせられた。今日初めてのキス。だんだんと深くなると、横向きから上向きに宗一郎さんを見上げる体勢に変わった。


「ん……宗一郎さん……」


「好きだ」


「だいすきです、わ、私も……

っん……」


舌が絡まると体じゅうが熱くなって、腰が深くベッドに沈む。体には宗一郎さんの強い腕の力を感じているのに、唇だけは溶けるような柔らかさで触れられる。


ふいに太股に手が触れて、足がびくんと震えた。


「あっ……」


自分の反応が恥ずかしくて顔をそむける。


「理緒はここ撫でられるの好きでしょ」


暖かな手は柔らかく足に触れて、太股の内側までゆっくりと撫でる。


「な、んで……」


そんなこと知ってるんですか?私だって知らないのに、宗一郎さんの手が触れるとうっとりする感覚が止められない。


「あの時は大変だったけど、おかげで良いことを知ったんだ」


宗一郎さんは私には分からない答えを返して、背骨に手を添えた。シャツの中から直接触れられる指先。


「背中も好きだよね」


「ぁ……」


どうして分かるのか考えるのはやめた。もう、頭がぼうっとして何も考えられない。体ごと溶けてしまいそうなのに、その手はいつまでも私を撫で続けた。
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