秘密の会議は土曜日に
閣下の口調は怒っているけど、何故か全く怖くない。前に一度だけそうしてもらった時よりずっと強い力を全身に受けて、ようやく震えがおさまった。



「その髪、」


「はい、つい先程切りました。」


「その服……」


「私が顔を晒して、先日のように閣下に恥をかかせては申し訳ないので。

せめて髪型くらいはこの素敵な服に合うように美容師さんにお願いするために、先程着替えました。」


閣下は腕を解くと髪を撫でて仕上がりを確認しておられる。納品の検収を受けるような緊張感で、私はその確認作業を待っていた。


「よく似合ってる。こんなに綺麗になって……。

理緒に何か頼むといつもそうだ、想像以上の成果を返されて驚くしかない。

でも、今度ばかりは理緒に髪を切れと言ったことを後悔しそうになるよ。」


「閣下も……。閣下も、私に仕事を依頼されたことを後悔なさっていますか?」


課長も、吉澤さんも酷く私に失望していた。その上、閣下にまで見限られたら私は仕事をする意味がなくなってしまう。


情けなくもぼろぼろと涙をこぼしながら閣下に問いかけていた。


「私は使えない社員ですか?私の仕事は迷惑にしかなりませんか?」


「俺が後悔しそうになると言ったのは仕事がどうのという話じゃなくて……。

理緒、一体何があった?泣いてるのはさっきの男が怖かったからじゃないの?」
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