秘密の会議は土曜日に
閣下が箸を進める間、しゅわしゅわと弾ける梅酒ソーダのグラスを眺める。これまで食べることに気をとられて気付かなかったけれど、閣下が何かを召し上がるご様子は、直視すると妙に落ち着かなくなる。


「その二人は、面倒な仕事を理緒に押し付けて済めばラッキー、逆に自分に追加の仕事が降りかかるのは御免だ、くらいのことしか考えてないよ。」


「しかし……。」


「特にマネジメントも責任も放棄してるその課長。確認済みの報告書について、後になってから内容に文句言うのはナシだろ。

チェックを済ませた文書は上司が責任持つのが常識だ。」


目を細めて語る閣下の声は少しだけ怒っている。こんなこと思ってはいけないのに、そう言って下さることにすがりたくなる自分がいた。


「他人の不手際で頭下させらげて、限界まで仕事して、たった一人でトラブルの火を消して。

その結果が『迷惑』だの『使えねー』なんて言葉じゃあんまりだよな。」



閣下の表情が急に優しくなり、吸い込まれるように視線を上げる。


「……でも、理緒が頑張って良い仕事したのは俺が見てたから。

少なくともエヴァーグリーンの高柳にとって、メルトン情報の田中理緒はなくてはならないエンジニアだ。」


閣下が私の頭の上にぽんと手を乗せた。しっかりと重みを感じる暖かい感触がして、一度は止まった涙がまた溢れそうになる。


「あり……がと……ございます。」
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