秘密の会議は土曜日に
「一つだけ覚えておいて。

組織の中で否定されたからって、理緒が自分を否定する必要はないんだ。

顧客主義の理緒がいて、責任転嫁の得意な課長がいて、成果を欲しがることだけに熱心な吉澤がいるように、みんな違うんだから。

組織の中での対立なんてごく当たり前のこと。否定される度にそうやって傷付いてたら、身が持たないだろ。」



「でも、今になって考えてみれば……二人の主張もうちの会社としては正しいことなのかもって……。

エヴァーグリーンの閣下に言えることじゃないですけど、うちの会社はもともと少ない工数で運用を回して……言ってみれば楽して儲けていたのに、私が仕事を増やしたのは事実ですから。」


「それだけ率直な事が言えるようになったのは良い傾向だな。

でも、手を抜いた分は結局トラブルとして跳ね返る。事前に防いだ方がメルトン情報にとっても省コストだよ。それにうちの会社への信頼回復の点でも理緒の仕事の意味は大きい。

だから中長期的にはとても意味のある仕事だったんだ。本来は課長がそこを評価すべきなんだけど……。」


「私、課長に怒られてからは自分が正しいって思ったことことを信じられなくなって。」


「それじゃ駄目だ。否定されたときに理緒がしなきゃいけないのは、傷付くことじゃなくて自分の意見を主張すること。

対立から生まれることだってあるんだから、嫌われるのを怖がるな。」


そんなこと、到底私にはできっこない。そう思ったのは顔に出ていたみたいだ。


「俺が言ってること、厳しいか?」


閣下は私を見て困ったように笑った。
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