秘密の会議は土曜日に
「そうなれたらいいなと思いますけど、」


職場で誰かの役に立つくらいしか私の存在価値なんか無いのに、対立してまで自分の意見を通すなんて考えられない。


「私がもし閣下みたいな人だったら、仕事で誰かに否定されても、なんてことないって思えるのかな……。

閣下みたいに、聡明で格好よくて、優しくて、誰からも愛されるような人なら、」


「えらい凄い褒め称えるけど……でも俺はそんな大層な存在じゃないよ。

そんな奴なら鬼畜とは言われないでしょ。」


「……あ。」


閣下の異名、鬼畜皇帝を思い出して固まっていると、閣下は堪えかねたように吹き出して笑った。


「組織の長なんて嫌われてナンボだから気にしてないよ。

むしろ個人的には、会社なんて組織は敵と味方が半々くらいが一番面白いと思う。」


「そうなんですか……!」


あまりにも大胆な発想に、口をぽかんと開けたまま閣下を見上げる。相手に嫌われないかいつもびくびくしている私とは、なんて違うんだろう。


「俺みたいな奴もいるくらいなんだから、理緒ももっと自由に仕事したらいい。

どんな人に何を言われようと、俺はエンジニアとしての理緒を信頼してるから。」



「ありがとうございます。

私、これから閣下の元で仕事できるなんて凄く幸せです。」


精一杯の感謝を込めて頭を下げると、閣下の綺麗な眉毛が少しだけ下がった。


「理緒は俺と一緒に仕事するだけで満足?」


「はい、閣下は私の理想の上司です。」
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