秘密の会議は土曜日に
「そっか、……でも俺は違うよ。

理緒と仕事だけの関係じゃ満足できない。」


「え……?」


閣下がきゅっと眉根を寄せて表情に陰がさした。でもそれは一瞬のことで、すぐにいつもの様子に戻る。


「いや、やっぱり深く考えなくていいよ。

今日は大変だったろうし、これ以上理緒を追い詰めるようなこと言うつもりは無いから。

さ、そろそろ帰るか。送ってくよ。」


「いえ、大丈夫です。駅から反対方向ですし、お手数ですから。」


最寄り駅が同じとはいえ、閣下のご自宅は再開発が進んだタワーマンション、私の家は下町のアパートと全く違う地区にあるのだ。


「さっき変な男に絡まれてたクセに、どこが大丈夫なんだか。今は深夜だから余計危ないぞ。」


じろっと睨むような視線に成す術もなく、私はこくこくと頷いた。



* * *


……ひょこひょこと、たどたどしい足取りで川沿いの道を歩く。ヒールの靴で街を闊歩する女性の足は、どうやって鍛えられてるんだろう。


「あの、手を離しても歩けますよ?手汗かいてたらベタベタして申し訳ないですし……」


「駄目。転びそう。」


閣下は絡めた指を強く繋いだ。お互いの指が交互に絡むような手の繋ぎ方なので、普通に繋ぐよりも密着して余計にドキドキする。手の甲は夜風にあたっているのに、どうしても手が熱い。
< 58 / 147 >

この作品をシェア

pagetop