秘密の会議は土曜日に
「ぶーっ」


鴻上くんが横でご飯を吹き飛ばし、さらに咳き込んでいる。


「もう、ご飯粒飛んできたよ。」


「げふっ……米粒くらい何だってんだ!このバカッ!セクハラ野郎!!」


「田中さん、今の話詳しく。」


高柳さんの眼鏡がキラッと光る。


「あ、でも詳しく説明するともしかしたら鴻上くんが気まずいかもしれず……。」


「そこで言葉を濁すなよ!

今以上に気まずい事態なんてねーから好きに言え!」


何故か鴻上くんに必死で訴えられ、中学のときの思い出を説明した。告白してくれたときは嬉しかったこと、うっかり涙を流すと「お前みたいなネクラを本気で好きになると思った?」と真実を告げられたこと。

話を聞いた高柳さんは、私を哀れと思ったのか眉を下げる。


「……さすがに酷いな。鴻上」


「あのっ、当時はもちろん悲しかったですけど、今となっては鴻上くんに感謝しています。

うっかり恋愛なんて望んだら、私みたいな人間は惨めな思いをするだけですから。子どもの時に知っておいて良かったんです。」


頭を抱えてテーブルに顔を伏せるように話を聞いていた鴻上くんが、視線を上げた。


「田中……今の話、本気?お前の解釈はそーなってんの?

俺はお前が泣くほど嫌なんだと思って……。俺が急に好きとか言ったから怯えて泣いたのかと思って、あのとき空気読んだつもりだったんだけど。」



「ほぇ?」


目が合うと鴻上くんは「間抜けな返事してんじゃねーよ」と笑った。


「あのとき俺は、お前のこと本気で好きだったよ。15年も誤解してたなんて、お互い馬鹿みたいだな。


つーか、今さら両想いだってわかると却ってキハズカシイ。……うん、『両想い』なんて良い大人が言うもんじゃねーな。甘酸っぱくて全身痒い。」
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