秘密の会議は土曜日に
「それはっ……中学の時のよしみというか……鴻上くんだからでっ。

高柳さんには同じようには……むむ無理でございます。」


高柳さんの形の良い眉がぐっと寄せられて、見てるだけで切なくなるような表情に変わった。


「恩人……か。俺には理緒にトラウマを植えつけた犯人に見えたけど。

いずれにしても理緒のファイアウォールを開ける鍵を持っていたのは、俺じゃなくて鴻上だったんだな。」


「それは、一体……?」


「まさか、目の前で部下に足元を掬われるとは思ってなかったよ。」


辛そうな顔に心がきゅっーと痛くなる。


足元を掬われるっていうのが気になるけど……。高柳さんのように事業部長のお立場にいると、仕事上で策略やら罠やらが色々とあるのかもしれない。

組織内では敵と味方半々くらいが一番楽しいなんて、恐ろしげなことを言っていたくらいだし。

この二日で私も高柳さんのお噂をたくさん聞いて……。



そうだ。私は高柳さんが本当はとても優しい人だと知っているのに、さっきはあまりの迫力に本気で粛正されるのかもと怯えてしまった。


滅多切りなんて噂と、キューちゃんのお喋りに踊らされた自分が情けない。


高柳さんは私の理想の上司。

この人について行きたいと思ったんだから、私が高柳さんを敵の策略から守るくらいの意気込みがなくてどうするんだ。


「鴻上の伝えた好意だけは信じるなんて、悪夢のような話はもう終わりにしたい。

理緒、俺が土曜日に二人で会いたいと言う理由、本当はもう分かっているんだろ?」



「はい!察しが悪くて大変申し訳ございません。しかしながらわたくし、天啓のようにたった今、全てを理解致しました!

この田中をご信頼くださいませっ」


「……え。

その返事、嫌な予感しかしないんだけど。」
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