【続】ねぇ…先生。。




「二日酔いですか?」

職員室でもずっとこめかみを押さえている俺に水谷先生が声をかけてくる。



『まあ…そんなところですね』

あはは、と苦笑い



「恋の傷はお酒なんかで治りませんよ?
消毒にもなりません。

効果があるとしたら…相手の愛?」


ふふふ、なんて言いながら水谷先生はいとも簡単に俺の悩みを暴いてしまった。



『結婚したら、不安…減りますかね?』


勝手に口からこんな言葉が零れていた。

結婚…ずっと前から考えていた。


でも零が大学卒業するまでは我慢しようとそう、考えていた。

けど…我慢、できそうにない。



「朝倉先生…

逃げるんですか?
結婚に…逃げるんですか??」


え?と、言って顔を上げると水谷先生は怒ったような顔をしていた。



「これくらいの壁、乗り越えられなくて結婚したってすぐに離婚です。


結婚は一生その人を愛しつづけると誓うものですよ?
死ぬまでその人と生きるって証ですよ?

今の朝倉先生は結婚なんて口にできません。

結婚は逃げ道じゃないんですから。


もっと…しっかりしてくださいよ。

先生らしく、ありませんよ?」



水谷先生がいなかったら…


そう考えると鳥肌が立つ。


ときには厳しく


ときには優しく


俺を叱ってくれる。

俺の背中を押してくれる。


俺と同じだけ生きているのにおふくろみたいだった。

いつでも見守ってくれてて。


少し毒舌なのがキズだが、
水谷先生はものすごく、優しい。


いつか…恩返し、しなくちゃな。







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