はっぴーえんど。
彼女の手は暖かった。
白くて小さい手。
今すぐにでも噛みつきたい。

それに、こんなに可愛い鈴は誰にも見せたくない…。映画館にして正解だったな。

「映画、おもしろかったねぇ。」

ベンチに腰掛けながら鈴はニコリと笑う。
この笑顔が無自覚なんだから余計にタチが悪い。

「うん、俺はあんなに切ない恋はしたくないけどね。」

「たしかに…お化けと人との恋は難しいよね…。」

彼女は映画の内容を思い出して少し悲しそうな顔をした。
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