はっぴーえんど。
少しだけ、俺の過去の話をしておこうと思う。

俺の家は有名な玩具会社。
大正時代から続く歴史のある企業だった。

俺はその家の双子の次男として生まれた。
兄は何をとってもセンスがあった。
幼い子供ながら、親族の期待が兄に向いているのは分かっていた。
……俺とは正反対。

だが、兄は体が弱く、10歳の時に命を落とした。
父はなぜ俺が生きているのか…なぜ、兄が体が弱かったのか…それだけを悔やんでいた。

『なんで周なんだ…。』
父が兄の棺にそう呟いたことは知っていた。
多分、その言葉の続きは…
『樹が死ねばよかった…』
だと、おもう。

…それくらい、父にとって、家にとって兄の存在は大きかったんだ。
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