はっぴーえんど。
「うん。ありがとう。…そろそろ試合が始まるから行くね。」

俺は彼女を立たせると、一緒に体育館に向かった。

「えっと、じゃあ私、観客席から見てるね!包帯ありがとう。」
彼女は俺の隣を離れて背を向ける。

「それと、いっくんは友達なんだから、いつでも頼ってね。」

いっくん…。
君はたまに俺のことをそう呼ぶ。
うれしい反面、君の中の俺は昔のまま。
そう考えると、心臓が痛くなる。

「早く俺だけを見て…。」
俺は彼女にそう言ってほほ笑み、そのままコートの方へ向かった。


もう少し…。
もう少しだけ待っていて…。
俺が君の全てを守るから。
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