私と貴方

···義兄からの電話


風呂から上がり
クローゼットを開けて
着替えを出して着替える。

ふと下をみたら
箱が二つ
一つは、俺が母親から言われて
仕方なく買った婚約指輪の箱。

もう一つは、結婚指輪の箱。

どちらも指輪が入っていたやつだ。


俺は、ユルユルと
歩いてベッドへ行き
布団に入り目を閉じた。

何も考えたくない
何も見たくない

翌朝、起きても現状は変わらず
俺は着替えて会社へ行った。

市川が
「専務、お早いですね」
「ああ。」
「どうかされましたか?」
「いや、問題ない。」
午前中は、なんとか仕事はこなした。

午後になると外線があり
市川が、首をふりながら取り次ぐから
なんだ?と思い、電話にでる・・・と

「お電話代わりました。
    専務の杉田です。」

「はぁっ?!お前が、専務?
 知れた会社だな。葉山だ。
夜七時にあんたの家に行く家にいろ。」
それだけ一方的に言うと
義理の兄は電話を切った。

受話器を持ったまま
ボォーとしていたらしい俺に
「専務?専務!!大丈夫ですか?」
と、市川が何度も声をかけていたらしい
「ああ、問題ない。
あっ、市川、今日は七時には
家に戻りたいが何かあるかな?」
と、訊ねると
「いえ、今日は何も
入っていません。」
と、言われて
ホッとしている自分と
残念に思っている自分がいた
「わかった、ありがとう。」
それから夕方まで
なんとか仕事をこなした。
< 13 / 30 >

この作品をシェア

pagetop