私と貴方

···離婚届


こんなに早い時間に
家に帰るなんて
何年ぶりだろうか

19時ちょうどに
義兄はやってきた。

リビングに通して
ソファを進めるが
義兄は、
「あんたと雑談をするつもりはない。」
と、言い。
「わかっていると思うが
柚子は、離婚をしたいと
言っている。
まあ、あんたに許否する
権利はないがな。」
と、兄は立ったまま
俺を見下ろして話す。


机の上には離婚届けが置かれた。

その離婚届けの証人欄には
俺の父親と柚子の父親の名前が
書かれており
柚子の欄はきれいに
埋まっていた。

義兄の顔を見ると
書け!と言われているようで
渋々記入する。

書き終えると
さっと、用紙を取り上げ
義兄が確認をして
封筒にいれた。

それから、用紙を二部出して
一部を俺に。
一部は、柚子の控えか

その用紙をみると

①子供達の親権は柚子。
だが子供達の名字はそのまま
柚子だけ、旧姓にする。
②慰謝料も養育費もいらない。
③財産は分与。
だが、家は入らない
保険等の名義変更は柚子分は柚子が行う。
と、書かれていて
そこにも
柚子のサインと印鑑
俺の父親のサインと印鑑
柚子の父親のサインと印鑑
があった。

俺は、ガクンを頭がおちた。

その間、義兄は何も語らず。
最後に、写真を数枚
机の上に並べた。

俺が市川を家に連れてきた物で

市川の手を握ったり肩を抱いている写真
俺が市川の頬や口にキスをしている写真
俺と市川が、床で抱きあって寝ている写真
の数々だった。

(市川の胸に俺の手が入っているもの
市川の生足が俺の体にのっている
写真もあった。)

「誤解するなよ。
撮ったのは、柚子じゃない。
子供達だ。

郁斗と杏が、
お母さんが余りにも可哀相だと
俺に言ってきたから
写真を撮るように言った。

柚子に言っても
そんなことする奴じゃないから。

ああ、言っとくが
この写真は、お前の両親も
家の親もみている。

杉田さんは、怒りを抑えて
ご夫婦で柚子に頭を下げていた。

子供達は、柚子に対するあんたの
これまでの事を全て伝えていたよ。

あんたとあの女が、
柚子に言った····
暴言も子供達は録音していたからな。

柚子は、あんたにもあの女にも
二度と関わりたくないから
何も要らないと言ったが。

俺と両家の両親で話し合って
どうにも、怒りが収まらないから
あの女に精神的苦痛料を請求する。

お前が立て替えるとか
考えるなよ。
夫婦だったお金は、
きちんと折半するのだから。

口座等は、わかっている
土地や建物は、査定をいれろ。
俺の弁護士費用や書類にかかる費用は
全てお前が支払え。
財産分与をした後のお前の持ち分から
良いな、

そして
お前もあの女も
二度と柚子に関わるな。」
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