私と貴方

···あれからの私達


螢斗も柚子も
あれから、再婚することもなく
一人で過ごした。

螢斗は、年を取りダンディな
おじいちゃん?になっていた。

58才で仕事を辞めて
2年はゆっくりとしてから
60才でここにきた。

柚子は、55才で仕事を辞めて
孫の面倒見たり、ゆっくりとして
今は57才となっている。
だが、変わらずに綺麗だった。


「柚子は、変わらないな
綺麗なままだ。」
「ウフフっ、なに言ってるの
こんな、お婆ちゃんに。
螢斗さんの方が変わらない。」

「なぁ、柚子?
付き合っていた時
少しでも俺の事好きでいてくれた?」
「うふふっ、今更だけど。
好きだったわよ。
こんな素敵な人が本当に
私で良いのかと。
妊娠したからだろうな?って。
思っていたの。」
「妊娠したからじゃない。
前の彼女みたいに燃えあがるような
恋愛では、当時はなかったが。

柚子が大切で大事な存在だったし
柚子が、そばにいる事が、
俺の癒しになっていたんだ。

だけど、俺は就職するのに
柚子だけ、学校を休学させないと
いけない事に罪悪感でいっぱいで。
それをどう伝えたら良いか
わからなかった。」

「そうだったの?
お互いに、言葉が足りなかったのね。」
と、当時を懐かしみながら話した。
< 25 / 30 >

この作品をシェア

pagetop