私と貴方

···振り返る


「そうだな。
もっと、いろんな話しを
どうしてしなかったのかと
今は、思うよ。

柚子は、離婚して
誰かと付き合ったりしたの?」
と、訊かれて
「うふっ、そうね。
看護師仲間から
心配されて合コン?やお見合いを
させられたけど。
乗る気になれなくてね。

私と違って
螢斗さんは、市川さんと
結婚すると思っていた。」
と、言うと
「市川の事では、
嫌な思いをさせて本当にすまなかった。

あの時は、仕事にやりがいを
感じていて、楽しくて、
自分を履き違えていたんだ。
ずっと一緒にいる
市川に依存していたのだろうか
今、考えても恥ずかしい。

徹義兄さんに叱られたよ。
柚子は、家政婦でも奴隷でもない
物として扱うんじゃない!!とね。

柚子の人権とか考えていなかった。
ただ、柚子は俺の側にいて
俺の言うことを聞いていたら、
いいんだ、と。
そんなバカみたいな事しか
考えてなかったんだ。
やはり、人として狂っていたんだと
思うよ。

徹義兄さんが来た翌々日に
社長室に呼ばれて
中には、社長、副社長、
顧問弁護士の平田先生と市川がいて
びっくりした。」
と、話すと
柚子は、えっと言う顔をしたから
手で制して
「徹義兄さんじゃないよ。
俺の親父だ。」
と、言うと
またまた、驚いた顔をするから
やはり、柚子は何も知らされて
いなかったんだ、とわかった。

俺は、あの日の話しをした。
親父からの手紙の話しも。

柚子は、涙を流して
「ごめんなさい。
そんな事になっていたなんて
知らなかった。」
と、言う柚子に
「いや。柚子が
親父やお袋に色々してくれていた
事さえ知らなかった
俺が、本当に情けなかった。
社長達からも良い奥様じゃないかと
言われたよ。
本当だよな。
今更だけど
本当にありがとう。
親父やお袋を気づかってくれて。」
と、言うと
柚子は、首を振りながら
「いくら考えても
元嫁と一緒にいては
と、思い杉田のお義父さん達に
そう伝えたら
娘として?友人として
一緒にいて欲しいと言われて。
葉山の両親も
杉田さんがそう言って下さるなら
そうしたら良いのでは。
と、言ってくれて
蛍斗さんと合わないなように
連絡して伺っていたの。」
と、言うから
「うちの両親は、柚子が好きで 
孫達は、可愛くて仕方なかった
みたいだから。」
と、言うと
「私も、優しくて
本当に好きなお二人だったの。」
と、言う柚子に感謝しかない。

それから転勤で九州へ行き
必死で働いた事
盆と正月は、こちらに戻って
いた事を話した。

何度目かの時に
杏とばったり会って
当時の事を謝ったんだ。
郁斗にも謝りたいとずっと
思っていたんだ。

随分後に電話でやっと話せて
その時に謝った事伝えた。

市川の事は、平田弁護士から
報告を受けただけだけど
東北に転勤したらしい。
会社に関係ない女性弁護士に
相談した結果
柚子と子供達に
精神的苦痛料を支払って
ご両親に全てを話して、
かなり叱られたらしい。
奥様もだが、お子さん達に
なんて事をと。

東北の地が、あったのか
あちらの方と結婚したらしい。
最後まで、柚子に謝れなかった
事を気にしていたらしい。
平田弁護士は、そう言ってた。

手紙を書くけど
出して不愉快になられても、と。
まあ、住所しらないけどな。

柚子は、
自分と蛍斗との離婚が
沢山の方を巻き込んでいた事を
今になって知り
驚きと申し訳ない気持ちだったが
蛍斗に
「柚子は、何も悪くない
全ては、俺のしでかした事だから。
柚子が回りに対して
優しい気持ちで接していたから
回りも柚子を守る動きになっただけ。」
と、言われて気持ちが楽になった。

市川さんにも幸せになって欲しい。
と、二人で話した。
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