なれたなら。ーさよなら、私の大好きな人ー




冷蔵庫に人参があるか確認しようと冷蔵庫に手をかけたら、背後から包まれるように温もりを感じた。




胸元に回る細いけどしっかりと鍛えられた腕。
香ってくる柔軟剤の香りは私の家で一緒に洗濯をしてるから、私と同じ臭いがする。




「……深侑?どうしたの……?」


「……少しだけ…こうさせて……」




腕に少し力がこもった。




私は何も言わずに深侑の腕に手をおいた。




お姉ちゃんの写真を見てたら悲しくなってしまったの?




一緒にいた頃を思い出して寂しくなってしまったの?




きっとどっちが正解とかじゃなくて、どっちも正解なんだよね。




大丈夫だよ。




私が深侑の傍にいるから。




深侑が悲しんでいるのなら、私が傍で支えてあげよう。




それでお姉ちゃんの代わりになるのなら。




これがあなたへの罪滅ぼしになるのなら。




例え深侑が私じゃない、他の人を好きだとしても。




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