なれたなら。ーさよなら、私の大好きな人ー




【深侑side】




「そういえばもうすぐ、ですか?3年になるの」


「あ、うん。そうだよ」




葵が茜の話を話題にした時、夏生は一瞬だけ泣きそうな顔をしていた。




でもすぐにいつも通りの表情に戻っていた。




茜が亡くなって一番悲しいのは夏生なはず。




それなのに一番何ともないように振る舞っているのは夏生。




仏壇の前に座り、じっと茜の写真を眺める。




「……なんで遠いところに行ってんだよ。
夏生、寂しがってるのに」




茜の写真に言ったってどうこうなるわけじゃないのに、ついそんな言葉が出てしまう。




気付いたらその場で寝てて、夏生が帰ってきたのに気付かなかった。




< 19 / 94 >

この作品をシェア

pagetop