なれたなら。ーさよなら、私の大好きな人ー
【深侑side】
「そういえばもうすぐ、ですか?3年になるの」
「あ、うん。そうだよ」
葵が茜の話を話題にした時、夏生は一瞬だけ泣きそうな顔をしていた。
でもすぐにいつも通りの表情に戻っていた。
茜が亡くなって一番悲しいのは夏生なはず。
それなのに一番何ともないように振る舞っているのは夏生。
仏壇の前に座り、じっと茜の写真を眺める。
「……なんで遠いところに行ってんだよ。
夏生、寂しがってるのに」
茜の写真に言ったってどうこうなるわけじゃないのに、ついそんな言葉が出てしまう。
気付いたらその場で寝てて、夏生が帰ってきたのに気付かなかった。