なれたなら。ーさよなら、私の大好きな人ー
「……ん、よし。いいかな」
味付けの最終チェックをして、火を弱める。
お父さんとお母さんは仕事で遅くなるらしく、今日も私が夕飯作りの担当になった。
深侑にまた夕飯のリクエストを聞いたら「肉じゃが」と相変わらず一言だけ返ってきた。
「……こんな時に肉じゃがなんて…深侑らしいよね」
"夏生の肉じゃがは世界で一番うまい"
よくお姉ちゃんがそう言って私が作った肉じゃがを褒めてくれた。
この言葉を深侑はずっと聞いてたから、今日はこれをリクエストしたのかもしれない。
肉じゃがを食べて、少しでも深侑の寝不足がよくなるといいな。
夕飯を作り終えて深侑が来るまで試験勉強をする。