なれたなら。ーさよなら、私の大好きな人ー




勉強ノートと教科書の間から進路希望調査の紙が見えた。




そこには就職と書いて先生に提出した。




"お前くらいの学力なら推薦で大学進学もできるんだぞ?"




先生にはそう言われたけど、進学したって今の私には目指すものがない。




だったら働いて何か夢中になれることを見つけたい。




今は就職試験に向けて勉強する日々。




前はお姉ちゃんにおいしい料理を食べさせてあげたいって、調理師を目指してたんだよね。




でももうお姉ちゃんはいない。
深侑のために…なんて考えたこともあったけど。




「…深侑は私のことなんか見えてないもんね」




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