なれたなら。ーさよなら、私の大好きな人ー




【side 深侑】




屋上で横になり、流れる雲を見つめる。




今日は夏生の卒業式。
だからと言って夏生に近付くわけでも声をかけるわけでもない。




夏生の誕生日。
俺は忘れずに夏生にプレゼントを渡した。




『好きな子の大切な日は忘れずに祝ってやること!』
そう茜に教え込まれてたから。





「もうやめてよ……!
これ以上、私を責めないで……!」




初めて夏生に拒否された。




初めてだったからどうしていいか分からなかった。
夏生のことが初めて分からなくなった。




今まで一番近くにいた夏生が、一番遠くなってしまった。




家に帰ったら謝ろう。
謝って俺の本当の気持ちを夏生に伝えるんだ。




< 62 / 94 >

この作品をシェア

pagetop