なれたなら。ーさよなら、私の大好きな人ー
深侑の隣にいたお姉ちゃんは満面の笑みを浮かべて光となって消えた。
お姉ちゃん、私もお姉ちゃんの妹になれて幸せだったよ。
ううん。
これからもお姉ちゃんの妹として幸せだよ?
ありがとう、お姉ちゃん。
頬に伝う涙をそのままにして、真っ直ぐに深侑を見上げる。
「……好き……ずっと深侑のことが好きです……っ」
「……っ夏生……!」
ぎゅっと力強く抱き締められる。
「もう大切な人を失いたくない。
夏生までいなくなったら、生きていけなくなるくらいに悲しい。
だからどこにもいかないで。俺の隣で笑っていて」
しがみつくように抱き締めてくる深侑の背中にゆっくりと腕を回す。
「……うん。ずっと深侑の隣にいるよ。
私は絶対に深侑の隣からいなくならないって約束する」
この初恋は長くて苦しくて後悔しか残らない恋だった。
でもそれは長くて暖かくてたった一度の特別な初恋になった。
今度は誰の代わりでもない。
自分の居場所として彼の隣にいられる。
最初から私の居場所はここにあったんだ。
誰もいない駅のホームで口づけをした瞬間に、春風が舞った。
それはまるでお姉ちゃんがおめでとうって私達を祝福してくれてるみたいだった。