キライ、じゃないよ。


護の車を運転して、俺はこの辺りで1番高い場所にある展望台を目指した。

車の中でもいろんな話をした。

専ら思い出話が主で。

話すたび、すれ違っていたのか、通じ合っていたのか分からない俺たちの過去。

だけど、行き着く先にある思いはたった1つ。

お互いに相手のことを思っていたということ。


「高校の時、付き合っていたらどうなってだんだろうな」

「なに?さっきから仮定の話ばっかり」

「だってさ、なんか勿体無かったって思ったんだよ。俺らずっと両思いだったわけだし……」

「……これからは、ずっと一緒でしょ?離れていた7年間より、ずっと長く一緒にいられるんだよね?」


不安げに揺れた護の目。

そんな彼女の手を取り、そっと唇を寄せた。


「か、樫?」

「当たり前。護が嫌だって言っても、離すつもりはないから」

「……うん。そうだね、私も絶対離れたりしないよ」

「護、目的地まで俺の心臓もたないから……あんまり可愛い顔見せないでくれる?」


運転に差し支えるんだよな。さっきから抱きしめたいのをずっと堪えてるってのに。


「え、あ、はい……てか、なんか、樫が甘すぎて……」


横目で見た護の顔が真っ赤だ。




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