キライ、じゃないよ。
散々遊園地で遊び倒して、会社の女性社員から教えてもらった創作料理のレストランに行った。
どこに行っても、何を話しても楽しい。
護はずっと笑顔でいてくれて、それだけで俺はすごく幸せだった。
「護、すっごくベタなんだけど、この後夜景でも見に行かないか?」
「ベタとか、関係ないよ。樫とだったらどこにだって行きたいよ」
そんな風に行ってくれるから、店の中だというのに、護を抱き締めたくなった。
高校の頃だって、護と過ごす時が1番楽しかった。
山近達に付き合わされてばかりだったけど、今ではアイツらに感謝している。
護と知り合わせてくれたことに。
「なんかさ……ちょっと癪だけど、山近達がいなかったら、俺らどうなってたかな?」
不意にそんな風に思って、ポツリとこぼせば、護は少し考える様子を見せた。
「……私はずっと樫の事を忘れられなかったから、今よりもずっと苦しい片思いしてたんだろうなぁ……同窓会で再会しても、樫の周りには綺麗になった女子がたくさんいてさ」
「護だって、八田とか、他の誰かに掻っ攫われてたかもしれないってことか……」
しばしお互いに見つめあった。
そうして達した1つの結論。
「2人へのお祝い、奮発しようか?」
「そうだな」
お互いの意見が一致して、思い切り吹き出して笑いあった。