キライ、じゃないよ。
「……なんの心配だよ」

「大学の時のモカちゃん、今日子ちゃん、2年前に別れた律子ちゃん……」

「なんだよ、いきなり元カノの名前並べて」


今山近が挙げたのは、俺が大学時代から付き合っていた彼女達の名前だ。

山近とは長い付き合いだから、お互い相手の恋愛遍歴は知っている。名前まで覚えてるのは正直うざいけど。


「無自覚なら怖いわ。彼女らにも失礼だわ」

「なんだよ。ハッキリ言えよ、意味分からん」


山近が何を言いたいのか分からないからそう言うしかない。

そんな俺の前で、山近は大きく溜息を吐き、呆れたように言い放った。


「俺いつも思ってたよ。樫から紹介される女の子って、みんな皐月に似てるなって」

「?……はぁぁぁぁ?」


自分でも驚くほど大きな声が出た。

山近から放たれた言葉を脳が理解するまで、少しの間時間を要した。


「な、な、何言って……」

「なんだ、やっぱり無自覚かよ。最低だお前」


山近の言葉に少なからずショックを受けてしまったせいで言葉が出てこない。

似ていたと言われれば、よく分からない。

でも、もしかしたら面影を探して…いた?

俺はずっと初恋を引きずっていたのか?

前を向いていたつもりが一歩も進んでいなかったって事かよ。
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