キライ、じゃないよ。
『やっぱりアイツ以外に、これから先一緒にいたいやつなんていないって分かったからな』

不意に山近の言葉が脳裏に浮かんだ。

山近は、幸島との将来を考えていると言った。

それって、結婚ってことだよな?家族になって一緒に子供を育てて、一緒に歳をとっていく。

そういう事を山近は幸島を相手に考えている。

正直すごいなと思った。高校時代の数年間しか知らない相手だ。7年という長い時間の中、相手がどんな風に変わったか分からないじゃないか。

再会して、上手く付き合うことになって、それで初めて考えられることだろう?結婚なんて。

でも、冷静に考えればかなり強引で勝手な考えでもある。相手にもし既に恋人がいたら……結婚していたらどうするつもりだよ。

山近……絶対何も考えてないよなアイツ。

さすが本能のままに生きる自由なやつだ。

25歳って男からしたら、結婚とかまだまだだと思うけど、女にしたら既に結婚してるやつだっているわけで……。


「……皐月、でよかった?」


変なタイミングで聞いてしまった。

名前変わってたりしてないよな?と思ったら咄嗟に聞いてしまっていた。

案の定一瞬キョトンとした表情の後「え、うん……皐月です」と答えてくれたが、きっと訳が分からなかったに違いない。

でも、皐月だと聞いてホッとしている自分がいた。

独身なら……たとえ相手がいたとしても、俺にだってもしかしたら望みはあるかもしれないじゃないか。
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