キライ、じゃないよ。
……バカみたいだ。

山近に感化されてしまっている。

何より、山近と俺達との決定的な違いは、アイツらは付き合っていたけれど、俺たちは全くそういう関係ではなかったということだ。

ただ近くにいて、気が合って、だけど特別な感情は持っていなかった。

少なくとも護は、俺の事を友人の1人だとしか思っていなかった。

だから、あの時即座に答えたんだ。

「私だって、樫の事なんて何とも思っていないよ!好きじゃないっ……」

自分が先に口にしたくせに、彼女の口からハッキリとそう言われた瞬間、頭を殴られたみたいな衝撃を感じた。

クラスの奴等にからかわれて、恥ずかしくて、護に迷惑だと思われるのが嫌で、彼女との関係が壊れてしまうのが嫌で……。

だから、彼女を前にして「護の事をそんな目で見た事はない」なんて言ってしまった。

上手く流せなかった。

かといって、山近のように堂々と宣言もできなかった。

分かっていなかったんだ。自分の気持ちなのに、あんなことになるまで分からなかった。

好きだと気づいた瞬間に失恋だなんて、珍しい話じゃない。

そんな間抜けな話、山ほど聞いてきた。

けれどそれが自らの経験だと、情けないほどに後悔は大きい。



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