キライ、じゃないよ。
「と、ところで今日はどうしたの?」


ドリンクコーナーからカフェラテを入れて戻ってきた私は、呼び出されてここにいることを思い出して、八田くんに尋ねた。


「……単刀直入に聞いてもいい?」


八田くんの真面目な表情に、思わず喉を鳴らしてカフェラテを飲み込んだ。


「なに、かな?」

「皐月さんって、樫くんと付き合ってるの?」


本当に単刀直入過ぎて、カフェラテを吹き出しそうになる。

慌てて口をナフキンで抑えた。


「つ、付き合ってないよ」


キスされそうにはなったけど、未遂だったしってかあれも夢かもしれないし……。


「そっか。なんだ、良かった。飲み会の時の樫くん見てたら、皐月さんのことずっと見てたというか、皐月さんしか見えてなかったから」

「え、と、そんなことないんじゃないかな?……でも、良かったってどういう意味?」


樫が自分のことを見ていたと聞いて動揺してしまう。

やたら目が合うと思ったのは、気のせいではなかったのだろうか?


「……うん。いや、その」


八田くんの歯切れの悪さから言いにくいことなんだと察して、話題を変えようと口を開いた。


「そういえ……」

「樫くん、田淵さんと会ってるみたいだからさ……あの2人、付き合ってるのかと思ってさ」


被せるように言われた言葉に、一瞬頭の中が真っ白になった。
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