優しいあなたの嘘の法則

家は同じ方向なので送ります。





月曜日の3限の授業は、経済学部の必修授業だ。授業を終えれば、月曜日の授業は終わり。いつもより少しだけ早く帰れる日だ。3限終了を知らせるチャイムが鳴って授業が終わり、いつも通り駅に向かおうと教室を出た時、見知った人と目があった。思わず顔を歪めそうになる。

「ども」と、気まずそうに言ったのはーーー想くんだった。どうやら同じ授業を受講していたらしい。まあ、同じ学部だから当然だ。
「……ども」と、私も返す。

「想くんも3コマで終わり?」
「うん」
「だったら2人で帰ったら?」
「ええええええ…なにを言ってるのナオちゃん?!」

そう提案したナオちゃんを思い切り睨みつけると「このままじゃ気まずいままでしょ。もっかいちゃんと話してみなよ」と耳打ちされた。

その言葉に私は露骨に嫌な顔をしたあと、渋々頷いたのだった。


「駅だよね?」
「うん、でも想くんの家はこのへんだよね」
「いーよ。俺のアパートも駅の方向だから。ついでに送る」

そう言われてしまうと、想くんの優しさに甘えることしかできない。「どうも」としか言いようがないじゃないか。歩く速度も、私の早さに合わせてくれているんだろう。こういう動作ひとつひとつに気遣いが感じられ、本当に同い年かと内心驚いていた。


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